早期売却に必要な担当者のスキル

  • 2021年02月17日
  • 最終更新日: 2021年03月06日

「知識」「交渉力」「直観力」「論理力」

あなたの不動産売却をサポートしてくれる、不動産会社担当者のスキルや交渉術について考えてみましょう。

適切な売出価格の設定で内見客を呼び込む

不動産会社担当者が持つべきスキルで最も重要だと感じることは、相場観や立地周辺から、「売れる価格」を正確に把握できる能力が重要です。

また、売主さんのことを第一に考え「連絡が丁寧で、いつもこまめに動いてくれる」ことも要求されます。

「どれだけ早期に売却できるか」は、結局「どれだけ多く内見(購入希望者による物件の見学)に来てもらえるか」で決まります。したがって「内見客を呼べる(呼び込む)」能力が必要です。

上記の能力を兼ね備えたうえで、販売図面に物件のアピールポイントや写真がしっかりと掲載されているか?物件内容がわかりやすい販売図面を作成しているがが重要です。また、買主さんが内見を希望する場合に、すぐに内見がセットできるような環境を整えていることも重要な要素となります。

早期売却の目安は「3か月以内」

次に「早期の売却」についてですが、どれくらいが早期なのかというと、売主と、売却を依頼する不動産会社が締結する「媒介契約」の契約期間にあたる「3か月以内」が1つの目安です。この3か月の間に、売買契約もしくは購入申込みを買主から得られれば、早期売却は成功と言えるでしょう。

もし現在の担当者が、「どうも3か月以内に売り先を決められそうにない」と感じたならば、「大丈夫ですか」と率直に思いをぶつけてみましょう。売れるような次の作戦はあるのか、どんな手を打つつもりなのか回答を求めてください。それに回答できないようならば、上司に相談して担当者を替えてもらう、もしくは仲介業者を変えた方が良いでしょう。

不動産売却で媒介契約を切り替えるタイミング

また、「内見が全くない」「担当者を替えてもらちがあかない」といった場合は、依頼している不動産会社にその事由を確認した上で、媒介契約の見直しを検討すべきと考えます。

媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つがあります。「専属専任媒介契約」を「専任媒介契約」に切り替えたり(専属外し)、他の不動産会社にも同時に売却を依頼できる「一般媒介契約」に変更したり(一般替え)することができます。

もちろん不動産会社にすれば、専属を外されたり、一般に変更されるのは、自社の立場が弱くなるため、担当者は「ますます売れなくなります」などとこちらの不安を煽るようなことを言ってくるかもしれません。

大手不動産業者にありがちですが、媒介件数ノルマのために売れないとわかっていてもとりあえず売主が希望する価格(高値)で媒介を取得し、案内もせず放置しておく行為(干す)は良く目にします。売主さんに過度な期待を持たせるばかりか、売却の機械的損失も与えることになりますので絶対にしてはならない行為です。

担当者と販売価格の見直しも必要

冒頭で、担当者に求められるスキルに「売れる価格を把握できる」というものがありました。内見がない原因は、担当者の販売活動やスキルの不足だけにあるとは限りません。売り出し価格が周辺の類似物件より高いという可能性もあります。その場合は、担当者とよく相談して、値下げを検討してみましょう。

売り出しから最初の1~2週間で内見が全くないような場合は、良いタイミングといえます。

買い手の「本音」をつかめ

最後に、内見での売主・担当者の対応について触れておきます。

 優れた担当者でしたら、売主は何もせず任せておけば良いかもしれません。しかし実際の内見では、売主と担当者が臨機応変に対応をすることが必要になるケースがほとんどです。その場の雰囲気や相手の関心度、買い手のご家族の質問などに的確に答えていきながら、疑問を払拭してあげるには、担当者だけではできないことも多いからです。

買い手はわざわざ内見に来ているわけですから、立地などの条件は満足しているはずです。満足はしていても、「少しでも安く買いたい」と思うのが買主なのです。売主は、事前に担当者と値下げの想定範囲を共有しておきましょう。

良い不動産会社担当者と協力して、不動産の早期売却や良い買い替えが実現していくことを願っております。

このコラムの執筆者

株式会社キューブ代表(宅地建物取引主任士・建築士)

杉山旬哉

実家が建設会社であったため、不動産業に興味があり大学在学中に「宅地建物取引主任者(現在の宅地建物取引主任士)」を取得する。
大学卒業後、新卒で埼玉県の不動産業者に約10年勤務。お客様が求める物件よりも会社の利益を優先するような不動産業界の旧態依然とした考え方ではいつか立ちいかなくなるだろうと思い、仕事に迷いが生じはじめる。
お客様に心から喜んでいただける物件を紹介するには、物件の調査・書類作成・税務相談・間取プランの作成等の知識が必要であると痛感し「建築士」を取得する。
お客様に豊かな生活と喜びを与えるためには営業力だけでなく物件の調査や書類作成能力が必要だと強く感じるようになり、銀行系不動産業者の三菱信不動産販売株式会社(現在の三菱UFJ不動産販売株式会社)へ転職し約10年勤務。成績優秀者として数多く表彰されるが、大手故の融通が利かない部分や、仕事に直結しない業務の多さに限界を感じ、自身で会社を設立することを決意する。
2016年4月株式会社キューブ、代表取締役に就任。日本の不動産の枠にとどまらず海外不動産の動向やコミュニケーションを学ぶため、カナダのバンクーバーへ留学。日本と海外不動産の売却方法の違いや中古住宅に対する価値観の違いについて深く学ぶ。
2018年に帰国後、リフォーム・リノベーションした中古不動産物件を中心に販売する。
現在は、地主のお客様からの不動産相談や、弁護士・税理士・司法書士等の士族の方からの紹介案件、また、一度お取引したお客様からのご紹介を中心に不動産事業を展開。