ホームステージングによる効果
- 2021年04月19日
- 売却
売却手法
近年、ストック数が増加している中古住宅。リフォームやリノベーションのほか、最新の売却手法に注目が集まり、その流通量・成約数は増加しています。
売主様にとって「できるだけ早く」「できるだけ高く」売却したいのは共通の望みではないでしょうか。物件価値を高める手段は多くありますが、最もおすすめなのはホームステージングです。新築よりも中古住宅が多く流通している欧米では一般的な手法ですが、近年では日本でも認知を拡大しています。そして最近ではこれをより手軽で効果的に実施するための不動産サービスが登場しています。
今までのホームステージング
「家(Home)」を「演出する(Staging)」という意味のホームステージング。一般的には、売却予定の物件にインテリアコーディネートを施し、買い手にとって魅力的な空間を演出することで、より早く・より高く売るためのサービスを指します。
物件を空室で売却する場合、殺風景な部屋をそのまま見せても、購入検討者にとっては自分がそこで暮らすイメージを持ちにくいです。また、居住中の物件を売る場合は、置かれた家具や日用品などで住んでいる人の生活感が出てしまうので、物件の魅力を活かしきれないこともあります。ホームステージングはそんな既存物件に家具や小物などを設置したり、居住中であれば片付けを行なったりすることで、ターゲットとする購買層にとって暮らしのイメージを持ちやすい魅力的な空間に変えるためのものなのです。
実際の効果はというと、不動産仲介の場合、ホームステージングをして3ヵ月以内に80%の物件が成約したというデータがあります。内覧者数や内覧時間についても75%以上で増加という結果になっており、ホームステージングは一定以上の効果が見込める手法であることが分かっています。
それでは、一般的なホームステージングを実施するための費用はどうでしょうか。家具や小物の購入・レンタルが必要となりますが、平均金額を見ると、仲介の場合は20万円~50万円位が多いようです。そして、これらの費用は仲介の場合、不動産会社や売主様が負担します。
さらにホームステージングとは、部屋を見栄え良く整えれば良いわけではありません。きちんと各物件のターゲットを見定め、その対象にとって価値ある物件に見せるための空間づくりをする技術が必要です。また大型家具の移動や小物の設置にかかる労力や移動コストを考えると、早期売却したい物件すべてには実施できない場合もあるでしょう。
このように高い成果が期待できるものの、会社の規模や扱う物件によってはややハードルの高いホームステージング。この手法をより広く身近なものにしてくれる不動産サービスが存在します。
“バーチャル” ホームステージング
現在は最新の撮影技術やVR、CGなどを使って労力や移動コストのハードルを引き下げ、安価で手軽に試せる「バーチャル」ホームステージングサービスが登場しています。
家具などのCGが設置された写真のほか、居住中の室内に置いてある家具を消した空室状態の部屋のイメージを作ることも可能です。また、二つのサービスを組み合わせることで、入居中の物件写真から生活感のある家具を取り除き、まっさらな部屋へ新たな家具を置き直した写真に加工することができます。これらの写真をポータルサイトや販売チラシに掲載することで他社との差別化を図り、Web反響率アップや早期販売が見込めます。
「使い方を具体的にイメージさせる」工夫が求められる時代
中古住宅を早く、高く売るためのホームステージング。昨今では、不動産をただの箱ではなく、ある目的のためにデザインされた空間としての価値を重視する傾向が見られるようになってきました。工夫次第で、立地や築年数だけでは計り知れない価値を不動産に与えることが可能なのです。
このコラムの執筆者
株式会社キューブ代表(宅地建物取引主任士・建築士)
杉山旬哉
実家が建設会社であったため、不動産業に興味があり大学在学中に「宅地建物取引主任者(現在の宅地建物取引主任士)」を取得する。
大学卒業後、新卒で埼玉県の不動産業者に約10年勤務。お客様が求める物件よりも会社の利益を優先するような不動産業界の旧態依然とした考え方ではいつか立ちいかなくなるだろうと思い、仕事に迷いが生じはじめる。
お客様に心から喜んでいただける物件を紹介するには、物件の調査・書類作成・税務相談・間取プランの作成等の知識が必要であると痛感し「建築士」を取得する。
お客様に豊かな生活と喜びを与えるためには営業力だけでなく物件の調査や書類作成能力が必要だと強く感じるようになり、銀行系不動産業者の三菱信不動産販売株式会社(現在の三菱UFJ不動産販売株式会社)へ転職し約10年勤務。成績優秀者として数多く表彰されるが、大手故の融通が利かない部分や、仕事に直結しない業務の多さに限界を感じ、自身で会社を設立することを決意する。
2016年4月株式会社キューブ、代表取締役に就任。日本の不動産の枠にとどまらず海外不動産の動向やコミュニケーションを学ぶため、カナダのバンクーバーへ留学。日本と海外不動産の売却方法の違いや中古住宅に対する価値観の違いについて深く学ぶ。
2018年に帰国後、リフォーム・リノベーションした中古不動産物件を中心に販売する。
現在は、地主のお客様からの不動産相談や、弁護士・税理士・司法書士等の士族の方からの紹介案件、また、一度お取引したお客様からのご紹介を中心に不動産事業を展開。