机上査定と訪問査定

どこの不動産屋さん、どの担当者に大切な家の売却を任せるか…それを決めるために大事なのが机上査定・訪問査定になります。

机上査定とは、売却不動産の情報…例えば、マンション名・号室・専有面積・方位・間取りなどを伝え、ザックリとした金額を確認するものです。

Webページを見ながら3社~5社に依頼することをオススメしています。私なら、大手・地元密着・小さいけど面白いサービスを売りにしている会社から5社を選びます。

なお、一括査定サイトを強く勧めるWebサイトを見るようになりましたが、あれは不動産のプロではなくて、広告収入が目的のアフィリエイターが作っています。元不動産営業マンとか、他業種の人とか、シロウトが書いているから参考にしてはダメです。

机上査定を通して確認して欲しいこと…

■ 「どれくらいで売れるのか?」という相場

■  サービスの特徴(会社)

■  知識・実績・提案力・スピード(担当者)

サービスの特徴はどこを見るの?

サービスで比較したいポイントをまとめておきます。ここを見ておけば、「どうやって売って欲しいのか?」という自分の要望も整理できるはずです。

■ 仲介手数料 (無料・半額・3%+6万円・定額制)

■ 会社規模

■ 地域密着の会社?

■ 新聞折込広告やオープンハウスを開催してくれる?

■ Webページの情報量

■ 写真や動画のキレイさ

■ インスペクション・設備保証などの無料サービスなど。

訪問査定

机上査定の中で、気になった不動産屋さんと、興味がある担当者に現場を見に来てもらうのが訪問査定です。

訪問査定では、次のような内容を現地で確認します。

■ 陽当り・風通し・臭い・騒音・振動

■ 隣地との距離・解放感・景色

■ 室内の利用状況

■ 雨漏りや家の傾き

■ 水回りの汚れ具合

■ 大きなキズ・穴・木材の腐食

■ タバコ・ペット

■ 設備の劣化状況・不具合

■ オプション設備

■ マンションなら共用部分の状況など。

机上査定金額に現地で確認した内容を加味して、おおむね3か月で成約できると思われる金額を提示します。

来てもらう不動産屋さんは、机上査定をお願いした中から最大3社に絞りましょう。1社しか頼んでいないことが不動産屋さんにバレると強気に出てくるかもしれません。5社以上は呼び過ぎです。

1日で10社以上を呼んだ人の話では、聞いた内容を全く覚えていないとのことでした。一体どれだけの人にタダ働きさせる気なんだろう…と心の底から思いました。タダでやってもらえることは何でもお願いしよう…そんな考えはやめてくださいね。

なお、1社あたり1時間は空けておきましょう。私を呼んでもらえるなら2時間ほど空けておいてください。いろいろヒアリングしたいですし、「高値成約のコツ」や「業界の裏話」までお話しますので、楽しいと思います。

訪問査定でチェックすること

訪問査定では「会社」「人」を選ぶことが最も重要な目的です。下記のチェック項目で比較してみてください。

【1】室内をしっかりチェックしていましたか?

【2】希望条件をヒアリングしてくれましたか?

【3】強引に媒介契約を迫ってきませんでしたか?

【4】サービス内容の説明はわかりやすかったですか?

【5】サービスに魅力は感じられましたか?

 

話し方が横柄・タバコ臭い・ため口で話す・遅刻してきた・だらしないと感じたなら、残念ながら「ハズレ」です。こんなのは論外ですから、きっぱりお断りしましょう。

大手が2人で訪問する理由…

私も独立する前に大手仲介業者に10年勤務していましたので、会社の実情は良く把握しております。

大手は担当者と店長(課長)などの上司が同行し2人で訪問します。

お客様としては大事にしてもらっているような気がして嬉しいかもしれませんけど、これ、ハッキリ言ってムダです!給料の高い上司の人件費がどこから出ているのか…想像したらすぐにわかりますよね。その分をもっと高値で成約するためのサービスに使った方がいいのでは…というのが私の意見です。

もし、担当者が頼りなかったら頼むのはやめましょう。なぜなら、店長クラスになると、営業から離れている期間が短くて、使えない営業マンになっていることが多いからです。

大手仲介業者の責任者の平均年収は1000万円程度です。それにテレビCMや駅ビルの広告、駅前の立地にお店を構える莫大な固定費…これ、どこから捻出されているか…もうお判りですよね!

結局1件の取引で仲介手数料を最大限回収するためには

両手仲介を狙い「物件の囲い込み」をするしかないんです!

これは売主さんにとって最大のデメリット!

他社に購入希望の買主さんがいても「契約予定」とか「話が入っている」等の理由で他社のお客様を排除し、自社のお客様だけでマッチングすることを目的としています。売主様にとって売却の機会損失だけでなく、両手仲介にしたいがため売主様に対して強引な価格交渉に応じさせるケースが目立ちます。また、会社のノルマも大きいため3月や6月などの決算期に無理やり安い金額で契約させられる動きが顕著です。

査定方法

不動産の査定方法は3つあります。「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」です。

物件種別によって査定方法が異なります。

 

マンション「取引事例比較法」

一戸建て :「取引事例比較法」原価法」

土  地 :「取引事例比較法」

収益物件 :「収益還元法」

 

査定書の内容はわからなくて当然です。理由は査定書に記載された数字に根拠がないからです。

難しい査定書を読む必要はありません。次の順番で売れる金額を自分で考えてみましょう。

 

■ 3~ 5社の査定金額を見て売れる金額の幅を確認します。

(極端に高すぎる査定は疑ってください。このタイプの業者は強引に専任媒介契約を迫ってきます。媒介を取得し3カ月の拘束期間中に強烈な値下げを要求され、結局、相場価格かそれ以下で無理やり成約に持ち込まれます。)

■  インターネットで相場を確認します。

■  不動産屋さんからもらった成約事例と比較します。

■「自分が買うなら検討するか?」を考えます。

 

相場をつかんだら、あとはどうやって高値で成約させるか、作戦会議です!

この人なら任せられると信じた担当者にすべてを伝え、担当者から最適なアドバイスをもらいます。

担当者は売主様の期待に応えるべく、「物件のセールスポイント」・「設備の特徴」・「周辺環境のプラスポイント」等をすりあわせます。また、「写真の撮り方」や「VRによる家具消し」・「VRステージング」等を駆使して、よりよい「商品」であることを最大限お伝えできる販売図面を作成します。

ウィークポイントがある場合には、買主様へ隠すようなことはせず、リフォームやハウスクリーニング等でカバーできることは実行し、できないことについては売却前・案内時にすべて正直にお伝えします。これにより買主様に誠実な売主様であることをアピールできるため、早期成約にもつながります。

このコラムの執筆者

株式会社キューブ代表(宅地建物取引主任士・建築士)

杉山旬哉

実家が建設会社であったため、不動産業に興味があり大学在学中に「宅地建物取引主任者(現在の宅地建物取引主任士)」を取得する。
大学卒業後、新卒で埼玉県の不動産業者に約10年勤務。お客様が求める物件よりも会社の利益を優先するような不動産業界の旧態依然とした考え方ではいつか立ちいかなくなるだろうと思い、仕事に迷いが生じはじめる。
お客様に心から喜んでいただける物件を紹介するには、物件の調査・書類作成・税務相談・間取プランの作成等の知識が必要であると痛感し「建築士」を取得する。
お客様に豊かな生活と喜びを与えるためには営業力だけでなく物件の調査や書類作成能力が必要だと強く感じるようになり、銀行系不動産業者の三菱信不動産販売株式会社(現在の三菱UFJ不動産販売株式会社)へ転職し約10年勤務。成績優秀者として数多く表彰されるが、大手故の融通が利かない部分や、仕事に直結しない業務の多さに限界を感じ、自身で会社を設立することを決意する。
2016年4月株式会社キューブ、代表取締役に就任。日本の不動産の枠にとどまらず海外不動産の動向やコミュニケーションを学ぶため、カナダのバンクーバーへ留学。日本と海外不動産の売却方法の違いや中古住宅に対する価値観の違いについて深く学ぶ。
2018年に帰国後、リフォーム・リノベーションした中古不動産物件を中心に販売する。
現在は、地主のお客様からの不動産相談や、弁護士・税理士・司法書士等の士族の方からの紹介案件、また、一度お取引したお客様からのご紹介を中心に不動産事業を展開。